【エスカレーター】比較レビュー【8番出口】

2024年1月10日

エスカレーター:比較レビュー

乗っている間に不思議なことが起こるエスカレーターが登場する、脱出を目指すホラーゲームのEscalator。
今回の記事ではこの「Escalator」の全実績解除後の感想を、あえて8番出口と比較しながらレビューします。

Escalatorを買うべきか?

Escalatorのレビューを前に、まず購入すべきかどうかと問われたら「オススメしない」と回答します。
販売価格を考慮したとしても全体的なクオリティが低く、お金を払ってストレスを買うことになります。

購入すべき対象は、このEscalatorのプレイ動画を収益に利用できるYouTuberやブロガー程度。
一般的なプレイヤーならSteamの商品ページで大きな興味を抱かない限り、回避したほうが良いでしょう。

もし8番出口を所持していないなら8番出口を購入すべきで、もし所持しているならその違いに失望します。

注意事項

注意事項

これより下のコンテンツは、Escalatorのネタバレを含みます。
そのため未プレイの場合は、ネタバレされる覚悟をしてご覧ください。

記事内の「Escalator」はゲームタイトルを、また「エスカレーター」は昇降設備を表しています。

立ち入り禁止

Escalatorの評価できる点

Escalatorの評価できる点

  • 開発期間が短い?
  • スキップ機能がある(賛否両論)
  • 理不尽な異変がない

開発期間が短い?

まずEscalatorで第1に評価できる点は「開発期間が短いこと」です。

私はゲームを作る仕事に携わっていませんが、2023年11月29日リリースの「8番出口」に対して「Escalator」は2024年1月7日とおよそ1ヶ月程度でSteamでのリリースに成功しています。

これは「流行りの8番出口の類似ゲームをすぐに出そう」という意気込みが十分感じられるレスポンスです。
ビジネスにおいてはスピードが成否を大きく分けますから、このフットワークはぜひ見習いたいところです。

スキップ機能がある

つぎにEscalatorで第2に評価できる点は「スキップ機能があること」です。

このスキップ機能はゲームをクリアすると解除され、エスカレーター搭乗時に「Hキー」で利用できます。
異変があると何の変化も起きませんが、異変がないとスキップが成功して非常口の目前に移動します。

つまり「スキップされない=異変を探す合図」ということですから、素早く環境の切り分けが可能です。
その一方でゲームの全異変解除を早めるリスクがあり、使用するとただでさえ高い作業感が一気に増します。

【エスカレーター】全異変まとめ【ネタバレあり】

ループするL字通路が登場する8番出口とは異なり、エスカレーターと階段で構成されているEscalator。
今回の記事ではこの「Escalator」で遭遇することになる、全異変の内容について画像付きで解説します。

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理不尽な異変がない

そしてEscalatorで第3に評価できる点は「理不尽な異変がないこと」です。
ここでいう理不尽とは「ポスターの漢字が一文字違う」や「膨大なタイルの色が1枚違う」のような物です。

異変の中には気づきにくいものもありますが、ゲームを投げ出してしまうほどの異変はありませんでした。
ただし実績の解除に必要な「Bキー」の存在は、ゲーム中のどこかでヒントを出すべきだったと考えます。

【エスカレーター】全実績の解除方法【ぜんぶ見つけた】

エスカレーターの音のみが静かに流れる地下通路からの脱出を目指す、8番出口のような仕様のEscalator。
今回の記事では、この「エスカレーター」に用意された全5種類の実績を解除する方法について解説します。

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Escalatorが改善すべき点

Escalatorが改善すべき点は、上記の「Escalatorの評価できる点」よりもはるかに多いです。

Escalatorが改善すべき点

  • ゲームシステムが不親切
  • 最初からバグる
  • セーブができない
  • 異変が多すぎる
  • 明らかにループではない
  • 現実に即していない
  • グラフィックの品質が悪い
  • エスカレーターである意味がない
  • 作者の感性が合わない
  • プレイ時間の引き伸ばしを感じる

ゲームシステムが不親切

ゲームをスタートして最初にぶつかる関門は「エスカレーターの乗り方がわからない点」でしょう。

なぜなら開始地点の正面に存在する光るメモで「Cキー」を押さないと、エスカレーターが起動しないから。
チェックを担うCキーの役割はタイトル画面でしか確認できず、あえて押させる必然性が見つかりません。

例えば駅に配置されたエスカレーターだと謳い、スクロールする電光掲示板で仕様を案内すればいいはず。
光るメモがゲームの雰囲気に水を差していますし、そこでプレイヤーを篩にかける意味がわかりません。

またそれよりも大きな問題は、この操作がゲーム開始時だけではなく進行リセット後も起こることです。
一度エスカレーターの乗り方を知ったプレイヤーに、再びメモの確認と非常ベルの操作が必要でしょうか?

進行がリセットするたびに下記の操作を強いられるのは、不親切の枠を越えた嫌がらせでしかありません。

1️⃣Cキーでメモを確認する
2️⃣エスカレーターにCキーで乗る
3️⃣エスカレーターの終点を待つ
4️⃣階段を降りて、もう一度Cキーでメモを確認する

最初からバグる

ゲームスタート直後でメモを確認しなければならない必須の操作は、上で説明したとおりです。
メモを確認時に何も操作しなければ良いのですが、メモの確認時に移動キーを押すと進行不可になります。

なぜなら移動キーを押すことにより、おそらくキャラクターが内部でメモから離れる判定になっているから。
メモによる解説が画面を専有したのちCキーで反応しなくなったら、Escでタイトル画面からやり直しです。

紙を読むときに移動キー(WASD)を押すと、Cキーで紙を閉じれなくなってしまうので、現状紙を読むときは立ち止まって読むようお願いいたします。

If you press the move key (WASD) when reading a paper, you will not be able to close the paper with the C key, so please stand still when reading the current paper.

引用元:Paper defects and bug reports(紙の不具合とバグ報告について)

セーブができない

Escalatorは故意なのか技術的な問題なのか、セーブ機能が存在しません。
異変判定を間違う、マナー違反を食らう、ゲームを起動し直すなどで、常に初期状態から始まります。

全20種類の異変に遭遇するには状況により少なくない時間が必要ですから、気軽なプレイに向きません。

異変が多すぎる

このEscalatorは「異変が起きない周回」を含めて、21種類の展開がランダムで発生する印象を受けました。
異変の遭遇率が高すぎるため、異変が起きているかどうかわからない場合は非常ベルを押せば進行できます。

さらなる問題点は残りの異変が少なくなってくると、スキップできる確率が増えていくことです。
終盤ではスキップだけでゲームが終わり、スキップ ⇒ バイバイ ⇒ チュートリアルに突入します。

スキップができることために1周~7周までの時間より、最初のメモ確認×2のほうが時間を浪費します。
異変が起こる / 起こらないを半分の確率にして、起こる場合は残った異変を起こす仕様にすべきでした。

現在 ⇒ 全20種類の異変 + 異変無しという21面のダイスを振る(つまり終盤はスキップが成功しすぎ)
理想 ⇒ 異変の有無を5割で判定し、異変が起こる場合は遭遇していない異変を発現させる

明らかにループではない

私が考えるに8番出口が評価された要素の1つは、進んでも戻ってもスムーズに空間が接続されている点です。
ゲームオーバー以外に余計なロードがなく、行動も制限されていないためプレイヤーが自由に探索できます。

一方Escalatorは搭乗しなければゲームが進行せず、搭乗したら移動を拘束され時間の経過を待たされます。
しかも異変を見つけたら、わざわざ階段を降りて非常ベルを押し、異変を置き換えるためロードを行います。

この設計が「ゲームをやらされている」という作業感を生み出しており、大変テンポを悪くしています。
ループする空間を作ることができないのであれば、エスカレーターの終点に非常ベルを設置すべきです。

現実に即していない

異変は現実とは異なる点を指すのであって、異変後が「まとも」ではゲームシステムが破綻しています。
例えば増える手すりや段差前の点字ブロックなどは、そもそも設置しているほうが安全なはずです。

踊り場に手すりがないと余計な突起が増えて、点字ブロックは段差の位置がわからず事故を引き起こします。

グラフィックの品質が悪い

私はゲームの画質をあまり重視しないほうですが、同価格で販売されている8番出口と比べ画質が劣悪です。
まさかこの令和に、NINTENDO64やPlayStation 1のような画質を体験させられるとは思いませんでした。

エスカレーターの意味がない

このEscalatorは一部の異変を除き、エスカレーターに搭乗した時点で異変の有無が判定されます。
つまり即座に異変を見つけても視点操作しかできず、乗ったら異変の有無に関わらずすぐに降りられません。

現実世界なら危険かつマナー違反であるとはいえ、逆走したり、飛び越えて階段に移動することもできます。
しかもエスカレーターで遭遇する異変は降りた後も続いているため、降りた後でも違いを観察できます。

せめてエスカレーターという装置を活かすなら「異変は搭乗中のみ確認できる」という仕様にすべきでした。

作者と感性が合わない

Escalatorの問題点は考えるだけ出てきそうですが、私は作者のセンスを押し付けられるのが苦痛でした。
Steamの商品ページを見ると「閉ざされた空間からの脱出を目指すホラーゲームです」と書いてあります。

にも関わらず実際のゲームはテーマである「ホラー」を徹底できておらず、想定する体験とは異なります。
例えるならお化け屋敷に期待して入ったら、BGMがエレクトリカルパレードのような違和感に苛まれます。

8番出口の異変は「気味の悪さ」という軸から大きくズレることなく、ゲームに集中できる内容でした。
しかしEscalatorは巫山戯た異変が多すぎて「常にこのゲームいつ終わる?」という感情が湧き上がります。

また8番出口では周回を表す看板が、Escalatorでは白い布を被ったキャラクターに置き換わっています。
しかもこのキャラクターは重ねて世界観を妨害してくるため、マイナスポイントとして作用するだけです。

ホラーゲームを謳っておきながらホラー体験をさせられないのであれば、商品説明を変えるべきです。
もし作者のセンス自体がホラーゲームの「ホラー」を表していると言うのであれば、文句はありません。

プレイ時間の引き伸ばしを感じる

『進行のリセットで同じ操作をさせられること』は「ゲームシステムが不親切」という項目で述べました。
それ以外に気になる点は、実績「マナー違反」に何度も発生して強制リセットを食らうことでしょう。

Escalatorの異変のひとつに「下りのエスカレーターの速度が上昇する」というものがあります。
これをエスカレーターの終点で止まって確認していると、なんとマナー違反に遭遇してしまいます。

しかもマナー違反に遭遇するとゲームが初期状態に戻り、そこまでに発生した異変も全て元通りです。
そもそも異変の判定に失敗しただけでもリセットとなり、最初のチュートリアルからさせられる仕様です。

これが8番出口であれば発生した異変はそのセーブデータではまず発生せず、異変の変化に集中できます。

ただでさえエスカレーターの移動で発生する拘束時間に、やり直すたびに強いられるメモ確認の煩雑さ。
作者はテストプレイをしたのでしょうか?――もし十分にしていたのなら、この問題点に気づいたはずです。

補足として上記のマナー違反に関し、作者としては「ペナルティ」として残すことを選択したようです。
この実績が繰り返されることに全く疑念を感じなかったのでしょうか、到底理解が追いつきません。

実績「マナー違反」の仕様については、発生するとゲーム進行がリセットされます。
実績名と合わせたペナルティのような扱いとなっています。

The specifications for the achievement "Bad Manners" will reset the game progress when it occurs.
It is treated like a penalty combined with the name of the achievement.

引用元:The specifications for the achievement "Bad Manners"

8番出口のゲームルール

ちなみに「8番出口のゲームルール」は、別記事で詳しく解説しています。

【8番出口】ゲームルールとおすすめ設定【ネタバレなし】

無限に続く地下通路に閉じ込められたプレイヤーとなり、様々な異変から引き返して地上を目指す8番出口。
今回の記事ではこの「8番出口」のゲームルールと、おすすめの設定についてネタバレなしで解説します。

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