Intel CPUの供給不足の影響か、Microsoft Surface Laptop 3やノートパソコンへの搭載が見られるRyzen。
今回の記事では、AMDの「Ryzen 7 3700U」とIntelの「Core i7-8565U」との性能の違いを比較します。
CPUの性能比較
Ryzen 7 3700UとCore i7-8565Uは、どちらも4コア8スレッドに対応した「モバイル向けのCPU」です。
ただしCore i7-8565Uのほうがより低い基本動作周波数と、より高い最大動作周波数で駆動する設計です。
一方Ryzen 7 3700Uは10コアのRadeon Vega 10 Graphicsを搭載しており、ゲーミング性能が期待できます。
性能比較 | Ryzen 7 3700U | Core i7-8565U |
---|---|---|
コア | 4コア | |
スレッド | 8スレッド | |
CPU基本動作周波数 | 2.3GHz | 1.8GHz |
CPU最大動作周波数 | 4.0GHz | 4.6GHz |
L3キャッシュ合計 | 4MB | 8MB |
最大メモリー速度 | DDR4-2400 | DDR4-2400 LPDDR3-2133 |
最大メモリーチャネル数 | 2ch | |
内蔵GPU | Radeon Vega 10 Graphics | Intel UHD Graphics 620 |
GPU基本動作周波数 | ? | 300MHz |
GPU最大動作周波数 | 1400MHz | 1150MHz |
対応ソケット | FP5 | FCBGA1528 |
TDP | 15W |
実機ベンチマーク比較
各CPUごとに1台、合計2台の実機サンプルを用いて、Cinebench R20とPCMark 10のスコアを計測しています。
ただしCPU以外の構成が同一でないため参考値に過ぎず、CPUの性能を正確に表すものではありません。
そして最も右の増減率とは、Core i7-8565Uを基準とした性能比を表します。
サンプル仕様比較
仕様比較 | Ryzen 7 3700U | Core i7-8565U |
---|---|---|
OS | Windows 10 Home 64bit | |
メモリ | 8GB | |
グラフィック | Radeon Vega 10 Graphics | Intel UHD Graphics 620 |
ストレージ | 256GB SSD(NVMe) | 512GB SSD(NVMe) |
Cinebench R20
第一の検証である「Cinebench R20」を利用したベンチマークでは、Ryzen 7 3700Uが「約17%優位」に。
その反面シングルコアではスコアが逆転し、Ryzen 7 3700Uに比べてCore i7-8565Uが約15%優位です。
Cinebench R20 | Ryzen 7 3700U | Core i7-8565U | 増減率 |
---|---|---|---|
マルチコア | 1507 | 1293 | +17% |
シングルコア | 381 | 447 | -15% |
PCMark 10
第ニの検証である「PCMark 10」を利用したベンチマークでは、Ryzen 7 3700Uが「約1%劣位」に。
とはいえ、どちらの結果も「GRAPHICS CARD IS NOT RECOGNIZED」の表示付き。
これはソフトやドライバの更新で解消されなかったため、本来の性能が発揮されていない可能性があります。
PCMark 10 | Ryzen 7 3700U | Core i7-8565U | 増減率 |
---|---|---|---|
総合スコア | 4149 | 4204 | -1% |
基本性能 | 8175 | 9111 | -10% |
アプリ起動速度 | 10316 | 12369 | -17% |
ビデオチャット | 7610 | 7625 | 0% |
ウェブブラウジング | 6960 | 8021 | -13% |
ビジネスアプリ | 6634 | 6910 | -4% |
表計算 | 8077 | 7819 | +3% |
ワープロ | 5449 | 6107 | -11% |
コンテンツ制作 | 3574 | 3203 | +12% |
写真編集 | 5275 | 4084 | +29% |
映像編集 | 2746 | 4106 | -33% |
ゲーミング性能比較
定番ベンチマークの3DMarkに加え、国内でプレイヤーの多い2種類のオンラインゲームで検証しました。
ちなみにファイナルファンタジーXIVの高品質と標準品質は「ノートPC設定のこと」を表しています。
――双方を比較すると、Radeon Vega 10 Graphicsを搭載しているRyzen 7 3700Uが全体的に優勢です。
Ryzen 7 3700Uは検証に使用した全てのベンチマークでCore i7-8565Uを上回っており、ファイナルファンタジーXIVすら画質を落とせば快適にプレイできます。
その一方、Core i7-8565UはファイナルファンタジーXIVの1080pにおいて「設定変更が必要」との表示。
標準設定(ノートPC)に変えても「普通評価」ですから、画質はもちろん解像度の変更も行わければなりません。
ベンチマーク | 設定 | Ryzen 7 3700U | Core i7-8565U | 増減率 |
---|---|---|---|---|
Night Raid 1.0 | - | 8638 | 5595 | +54% |
Sky Diver 1.0 | - | 8061 | 4657 | +73% |
Cloud Gate 1.1 | - | 10165 | 8836 | +15% |
ドラゴンクエストX 1.51 | 最高品質 | 6543 | 5011 | +31% |
ファイナルファンタジーXIV | 1080p 最高品質 | 1954 | 1121 | +74% |
1080p 高品質 | 2702 | 1643 | +64% | |
1080p 標準品質 | 3528 | 2287 | +54% |
※Core i7-8565Uの標準設定結果
Ryzen 7 4700UとCore i7-10710Uの違い
「Ryzen 7 4700UとCore i7-10710Uの違い」は、別記事で詳しく解説しています。
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【性能比較】Ryzen 7 4700UとCore i7-10710Uの違い【ベンチマーク】
モバイル向けCPUとして登場した8コア/8スレッドのRyzen 7 4700Uと、6コア/12スレッドのCore i7-10710U。
今回の記事ではこの2つの性能の違いを、Cinebenchや3DMarkなどのベンチマークを利用して比較します。続きを見る