スマートフォンを使用するうえで、まず貼らない人はいないであろう液晶保護フィルム。
今回の記事では各素材の利点と欠点に加え、それぞれの素材の耐衝撃性について解説します。
保護フィルムの素材
PET製フィルム
ペットボトルと同等の素材を採用した、薄く柔らかい素材の保護フィルムのこと。
タッチの感触が滑らかでケースと干渉しにくい反面、気泡が入りやすいことが欠点です。
ポリウレタン製フィルム
ラップのように柔らかくて薄い、弾力性を備えた素材の保護フィルムのこと。
耐衝撃性を謳う製品が多い反面、気泡が入りやすく貼り直しが難しいことが欠点です。
ガラス製フィルム
スマホ本来の感触を維持しつつ、キズへの耐性に優れる高い硬度を備えた保護フィルムのこと。
気泡が入りにくく貼り直しがしやすい反面、高価なうえにケースと干渉する可能性があります。
ちなみにこのガラス製フィルムには、住宅にも使われる一般的なソーダライムガラスと、
ゴリラガラスやドラゴントレイルのような、より硬質なアルミノシリケートガラスが存在します。
保護フィルムの表面加工
光沢タイプ
クリアやグレアとも表記される、高い透明度を重視した表面加工のこと。
写真や動画を色鮮やかに楽しめる反面、外光を反射しやすく視認性が悪いことが欠点です。
視認性や滑りやすさよりも、美しい画面を重視する方に適しています。
非光沢タイプ
マットやアンチグレアとも表記される、低反射性を重視した表面加工のこと。
屋外で見やすい反面、光沢タイプに比べて色味や鮮やかさにおいて大きく劣ることが欠点です。
画面の美しさよりも、視認性や滑りやすさを重視する方に適しています。
プライバシータイプ
正面以外から画面を確認できないような設計を施した表面加工のこと。
左右や上下からの覗き見を防ぐことができ、人混みの中でも幾分安心して操作できます。
しかし正面からも視認しにくくなる製品が存在するため、充分に注意が必要です。
2016年夏 耐衝撃性テスト
耐衝撃性は、重力加速度を9.80665m/s2としたもの。
例えば1mからの落下で3回目に割れた場合は、1.2748645J×3回の3.82J未満と表記しています。
ただしこれは、あくまでも各製品を比較しやすくするための計算上の話。
仮に2.00Jのエネルギーが一度に発生した場合、あっさり割れてしまう可能性があります。
メーカー | 型番 | 厚み | 素材 | 1m耐性 | 耐衝撃性 |
---|---|---|---|---|---|
ELECOM | PM-A15FLGG010 | 0.1mm | ゴリラガラス | × | 1.27J 未満 |
ELECOM | PM-A15FLGG015 | 0.15mm | アルミノシリケート | × | 1.27J 未満 |
ELECOM | PM-A15FLGG02 | 0.2mm | アルミノシリケート | ○ | 1.91J ~ 3.82J |
ELECOM | PM-A15FLGGFLWH | 0.4mm | ゴリラガラス | ○ | 1.27J 以上 |
HOYA | Z'US-G | 0.2mm | アルミノシリケート | × | 1.27J 未満 |
ラスタバナナ | GP658IP6S3 | 0.33mm | ソーダライム | × | 1.27J 未満 |
ラスタバナナ | 3DD658IP6W | 0.35mm | ドラゴントレイル | × | 1.27J 未満 |
ラスタバナナ | 3D658IP6SW | 0.4mm | ソーダライム | ○ | 1.27J 以上 |
エレコム | PM-A15FLPAFL | N/A | ポリウレタン | ○ | 1.91J ~ 3.82J |
ヤマダ電気 | YHS-I6B1 | N/A | PET | ○ | 1.27J 以上 |
2017年春 耐衝撃性テスト
メーカー | 型番 | 厚み | 素材 | 1m耐性 | 耐衝撃性 |
---|---|---|---|---|---|
ELECOM | PM-A16MFLP | N/A | PET | ○ | 6.37J 以上 |
ELECOM | PM-A16MFLFPHD | N/A | PET | ○ | 6.37J 以上 |
レイ・アウト | RT-P12F/DE | N/A | ポリウレタン | × | 1.27J 未満 |
トリニティ | TR-PFIP164-SKCC | N/A | ポリウレタン | ○ | 2.55J 未満 |
ELECOM | PM-A16MFLGG010 | 0.1mm | ゴリラガラス | ○ | 6.37J 以上 |
ELECOM | PM-A16MFLGGGO | 0.21mm | ゴリラガラス | × | 1.27J 未満 |
ELECOM | PM-A16MFLGGM | 0.33mm | ガラス(詳細不明) | × | 1.27J 未満 |
ラスタバナナ | GG751IP7A3 | 0.33mm | ゴリラガラス | ○ | 2.55J 未満 |
ELECOM | PM-A16MFLGGDT | 0.21mm | ドラゴントレイル | ○ | 2.55J 未満 |
ラスタバナナ | GG751IP7A2 | 0.2mm | ゴリラガラス | × | 1.27J 未満 |
PGA | PG-16MGL10 | 0.4mm | ドラゴントレイル | ○ | 2.55J 未満 |
オウルテック | OWL-TGDIP7-CL | 0.4mm | ガラス(詳細不明) | ○ | 6.37J 以上 |
まとめ
ガラス製の保護フィルムは非ガラス製に比べて著しく硬いため、その特性から誤解されがちですが、
まず要点として外せない検証結果は、ガラス製の保護フィルムは耐衝撃性に期待できないという点です。
耐衝撃性だけに着目するなら、より安価なPET製やポリウレタン製に軍配が上がります。
それではガラス製の利点は何かと問われたら、第1にスマホ本来の感触が楽しめること。
第2にキズが付きにくく、いつまでも綺麗な液晶画面を維持できることでしょうか。
非ガラス素材では素材の関係で、どうしても柔らかいタッチ感になりがちですから、
「硬質なタッチ感で操作がしたい」という方には、ガラス素材が適していると言えます。
一方「よくスマホを落とす」「滑りやすくしたい」という方には、非ガラス素材がお勧め。
キズがつきやすい特性から、鍵やペンなどと一緒に持ち運ぶことには適しませんが、
ガラス素材に比べて耐衝撃性に優れており、汚れても交換しやすい価格帯であることも評価できます。
- ガラス素材にはソーダライムとアルミノシリケートがあり、後者のほうが硬い
- アルミノシリケートには、ゴリラガラスやドラゴントレイルなどがある
- ガラスの厚みと耐衝撃性について、明確な比例関係は認められない
- スマホ本体のガラスが割れにくいのは、PET製やポリウレタン製の保護フィルムである
ガラス素材の利点と欠点
- 硬度が高くキズが付きにくい
- 気泡が入りにくく貼り直しも簡単
- 滑りの感度がスマホ本来の状態とあまり変わらない
- 高価
- 耐衝撃性があまり期待できない
- 厚いフィルムだと感度に影響があり、ケースとも干渉しやすい
非ガラス素材の利点と欠点
- 安価
- 耐衝撃性が期待できる
- 反射防止の製品や、とくに滑りやすい製品が選べる
- 汚れやすい
- キズがつきやすい
- 気泡が入りやすく貼り直しが難しい
お勧め保護フィルム
PM-A16MFLFPHD
衝撃を吸収する特厚シリコン層を採用したことで、高い衝撃吸収性能を実現した製品。
レビューを見る限り性能は評価されているようですが、画面全体を覆う設計ではないようです。
PM-A16MFLGG010
参考元の検証テストにおいて、ガラス製で最も薄い0.1mmでありながら好成績を残した製品。
しかしレビューはあまり芳しくなく、参考元が謳うように「テスト個体が強運だった」可能性も。