年に1度の年賀状シーズンを前に、夏の終盤から新製品が発売され始めるキヤノンやエプソンのプリンター。
今回の記事ではこの2つのメーカーの違いや利点および欠点をまとめ、ブラザーやHPについても解説します。
キヤノンとエプソンの違い
キヤノンとエプソンの大きな違いは、主に「インクの色数」にあります。
売れ筋の6色インクを搭載した複合機で比較すると、下記のとおりです。(インクの順番は製品に準拠)
このように同じ6色インクでも、キヤノンは黒2色とカラー4色による6色であり、エプソンは黒1色とカラー5色による6色であることから「カラーインク1色分勝るエプソンのほうが写真印刷に向く」というのが通説です。
しかしながらキヤノンはカメラを製造しているメーカーであり、色に関する高い再現性を備えています。
そのためキヤノンに言わせると「色の数で劣っていても、エプソンと遜色ない印刷ができる」そうです。
とはいえ2つのプリンターを比較できる店舗が近くにあるなら、実際に目で見てみるのが最善の選択肢。
後悔しないように2社の印刷物を見比べ、好みの発色を持つメーカーのプリンターを購入しましょう。
ちなみにこの時可能であれば、購入検討のプリンター同士で「全く同じ写真」を印刷してもらいましょう。
メーカーのサンプルは最高の状態で印刷されているうえ、2社で写真の素材が違うため比較しにくいです。
キヤノンのプリンターの利点と欠点
キヤノンのプリンターの特長は、低価格帯を除き「2種類のブラックインク」を搭載している点です。
文書印刷の際には「顔料インク」を、写真印刷の時には「染料インク」を使うため仕上がりが綺麗です。
顔料インク ⇒ コントラストが高くメリハリの効いた鮮明な印刷ができ、水で滲まず耐久性に優れる
染料インク ⇒ 発色が鮮やかで写真向き。光沢紙に印刷すると、さらなる光沢感と透明感を実現できる
また背面給紙のモデルは複数枚の用紙を一度にセットでき、前面給紙では対応しにくい用紙に最適です。
そのほかキヤノンの特性として、低価格帯と中価格帯以降でインクの構造が違うこともポイントです。
低価格帯のモデルはブラックとカラーインクの2つを利用する「プリントヘッド一体型インク」を採用しており、インク詰まりによる印刷トラブルをインク交換により解消できるという利点があります。
しかしその反面、カラーインク1つにイエロー・シアン・マゼンダを内蔵していることから、印刷物により色の偏りが発生した場合に余ったインクごと廃棄せねばならず、インクコストが高くなる傾向にあります。
例えば青色(シアン)の写真ばかり印刷した ⇒ イエローとマゼンダが使われないままインク交換へ
- 黒の顔料インクを採用しているため文書印刷に強く、インク切れを起こしにくい
- 背面給紙が手差し1枚ではなく、複数枚同時にセットできるため使い勝手が良い
- 低価格帯はインク一体型だが、インク交換時にプリントヘッドも交換できる
- 写真印刷では色数の多いエプソンに比べ、発色で劣るとされる
- 前面カセットにA4用紙を入れると、カセットが少し飛び出て見栄えが悪い
- 低価格帯はインク一体型のため、インクコストが高くなりやすい
TS8430とTS8330の違い
キヤノンで売れ筋のプリンターは、2020年発売の「PIXUS TS8430」です。
商品選びに役立つ「TS8430とTS8330の違い」は、別記事で詳しく解説しています。
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【PIXUS】TS8430とTS8330の違い【QRコード接続】
スマホからの多彩なプリントが楽しめる「おうちでスマホプリ」に対応した、CanonのPIXUSシリーズ。
今回の記事では2020年発売となる「TS8430」と、2019年発売となる「TS8330」の違いについて解説します。続きを見る
エプソンのプリンターの特長
エプソンのプリンターの特長は、前述の通り「キヤノンよりもカラーインクの数が多い」ことです。
そのため写真印刷に向き「キヤノンよりも発色と鮮やかに優れた、より綺麗な写真」が残せます。
また低価格帯から高価格帯まで独立インクを搭載しており、なくなった色だけの交換が可能です。
さらにキヤノンとは違い、前面カセットに用紙を入れても本体下部が飛び出さないためスマートな外観です。
さらに一部のモデルは、ユーザー自身で「メンテナンスボックスの交換」に対応できます。
プリンターは余ったインクを、スポンジを搭載した「廃インクパッド」に吸わせる設計です。
しかし従来の構造では内蔵式であり、廃インクパッドが一杯になるとメーカーに送る必要がありました。
そこでエプソンが考え出したのが、この「廃インクパッド」を分離して交換式にすることです。
この新しい構造により、廃インクパッドが一杯になってもメーカーに送る必要がありません。
――という様々な利点をもつ一方で、低価格帯のモデルは印刷速度が極めて遅いことが欠点。
どれくらい遅いのかというと、印刷の遅さを了承して購入したお客様からお叱りを受けるほどだとか。
「遅いにも限度がある」
このセリフを聞いたのは、一度や二度ではないそうです。
余談として同じ状況は、CeleronとHDDを搭載したパソコンの販売後でも数多く遭遇することになります。
- 同価格帯の競合他社に比べ、カラーインクの数が多く発色に優れるため写真印刷に向く
- 主に流通しているモデルは全て独立インクであり、なくなった色だけの交換ができる
- 前面2段カセットと背面手差しに対応しながら、コンパクトなサイズのモデルがある
- 売れ筋のモデルは全て染料インクのため、白黒印刷の品質で劣るうえ黒インクが無くなりやすい
- 背面印刷に対応しているモデルもあるが、1枚ずつ手差ししなければならず使い勝手が悪い
- 低価格帯のモデルは印刷速度が極めて遅く、メンテナンスボックスにも対応していない
EP-883AとEP-882Aの違い
エプソンで売れ筋のプリンターは、2020年発売の「Colorio EP-883A」です。
商品選びに役立つ「EP-883AとEP-882Aの違い」は、別記事で詳しく解説しています。
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【EPSON】EP-883AとEP-882Aの違い【スクエア用紙】
家庭用インクジェットプリンターとして上位に位置し、カートリッジ方式を採用した複合機のEP-883A。
今回の記事では2020年発売の「EP-883A」と、2019年発売の「EP-882A」との違いについて解説します。続きを見る
ブラザーやHPの特長
プリンターというカテゴリーで自身がオススメするメーカーは、上記のキヤノンもしくはエプソンです。
しかし個人向けのプリンターを作っているメーカーには、ブラザーやHPもあります。
ブラザーについて
ブラザーのプリンターは4色独立インクを採用しており、他社に比べて少し安価な価格帯に位置します。
そのため「印刷頻度が少ない」「印刷品質を重視しない」「年賀状だけ」という用途に向くと言えます。
またキヤノンやエプソンでは販売していない「電話機能付き複合機」があることも見逃せません。
この電話機能付き複合機を選べば、プリンター・スキャナー・電話・ファクスが1台で済むのです。
補足として電話機能付きモデルには、末尾が「DN」のものと「DWN」の2種類があります。
これは付属するコードレス電話機の数を表しており、前者のDNが1台で後者のDWNが2台となります。
HPについて
HP(ヒューレット・パッカード)は主にパソコン、およびその周辺機器を扱うアメリカのメーカーです。
国内ではパソコンの販売数が多い反面、個人向けのプリンターはあまり広く普及していません。
その理由は定かではありませんが、少なくともHPを選択すべきでない理由はインクの入手性にあります。
キヤノンやエプソンのインクではあれば、ホームセンターはもちろんコンビニでも入手できます。
しかしHPのインクとなるとそのどちらでも見かけず、家電量販店ですら在庫切れが珍しくありません。
そのためよほど「魅力的な機能がある」または「デザインが好み」でなければ、購入候補から外しましょう。
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