2021年春モデルのパソコンからCPUとして採用され始めたRyzen 5 4500Uと、昨年流通したCore i5-8265U。
今回の記事では6コア「Ryzen 5 4500U」と4コア「Core i5-8265U」の性能を、ベンチマークで比較します。
CPUの性能比較
Ryzen 5 4500UはZen 2アーキテクチャを採用した、6コア6スレッドで駆動するCPUです。
一方のCore i5-8265Uは少し流通時期が古い第8世代に当たり、Whiskey Lakeに属しています。
性能比較 | Ryzen 5 4500U | Core i5-8265U |
---|---|---|
コードネーム | Renoir | Whiskey Lake |
CPUコア数 | 6コア | 4コア |
スレッド数 | 6スレッド | 8スレッド |
基本クロック | 2.3GHz | 1.6GHz |
最大クロック | 4.0GHz | 3.9GHz |
L3キャッシュ合計 | 8MB | 6MB |
CMOS | 7nm | 14nm |
パッケージ | FP6 | FCBGA1528 |
PCI Express | PCIe 3.0 | |
TDP | 15W | 25W |
最大メモリー速度 | DDR4-3200 LPDDR4-4266 | DDR4-2400 LPDDR3-2133 |
GPU名 | AMD Radeon Graphics | Intel UHD Graphics 620 |
GPU周波数 | 1500MHz | 1100MHz |
CPUベンチマーク比較
毎回性能比較の慣例となっている「Cinebench」と「CPU-Z」のベンチマーク結果です。
2つのCPUの増減率を比較すると、Ryzen 5 4500Uが「Cinebench R20(Multi)で約89%優位」です。
CPU-Z(Multi)の結果を見てみると、Cinebenchほどの差はないとはいえ明らかな性能差が見て取れます。
また注意すべきは、CPU-Z(Single)の結果です。
Ryzen 5 4500Uは何度測定しても、なぜかCPU-Z(Single)が86前後から変化しませんでした。
Cinebench(Single)を見るとこのような結果が出るのは考えにくく、単なるバグなのかもしれません。
CPU性能比較 | Ryzen 5 4500U | Core i5-8265U | 増減率 |
---|---|---|---|
Cinebench R20(Multi) | 2209 | 1169 | +89% |
Cinebench R20(Single) | 447 | 394 | +13% |
CPU-Z(Multi) | 2501.7 | 2102.8 | +19% |
CPU-Z(Single) | 86.4 | 409.2 | -79% |
GPUの性能比較
左の画像が、Ryzen 5 4500U搭載PCに内蔵されている「AMD Radeon Graphics」の情報です。
右の画像が、Core i5-8265U搭載PCに内蔵されている「Intel UHD Graphics 620」の情報です。
検証機仕様比較
比較用の検証サンプルには似通ったスペックのものを用意していますが、あくまで別個体。
そのため記事内の全てのベンチマークは、参考値として認識して頂くようお願いいたします。
検証機仕様比較 | Ryzen 5 4500U | Core i5-8265U |
---|---|---|
OS | Windows 10 Home 64bit | |
メモリ | 4GB×2(DDR4-3200) | 8GB(DDR4-2400) |
ストレージ | 512GB SSD(NVMe) | 256GB SSD(NVMe) |
グラフィック | AMD Radeon Graphics | Intel UHD Graphics 620 |
ゲーミング性能比較
GPUベンチマークを比較すると、Ryzen 5 4500Uが「ファイナルファンタジーXIVで約129%優位」です。
一部の値が存在しないのは、測定時期が異なり3DMarkのバージョン違いで非対応の項目があるためです。
GPU性能比較 | Ryzen 5 4500U | Core i5-8265U | 増減率 |
---|---|---|---|
Time Spy | 945 | - | N/A |
Night Raid | 11165 | - | N/A |
Cloud Gate | - | 8501 | N/A |
ドラゴンクエストX(1080p) | 7381 | 4614 | +60% |
ファイナルファンタジーXIV(1080p) | 2398 | 1046 | +129% |
総合性能比較(PCMark 10)
パソコンの総合的な性能を測定する目的で用いられる、ベンチマークソフト「PCMark 10」のデータです。
双方を比較すると、Ryzen 5 4500UがCore i5-8265Uに対して「総合スコアで約16%優位」です。
今回の結果を振り返ると、各CPUの間には大きな性能差が存在すると言わざるを得ません。
しかしながら双方を採用しているノートパソコンの価格は、ほぼ似通っている状況です。
そのためAMDのCPUに抵抗がない限り、Ryzen 5 4500U採用PCを選択すべきだと言えます。
Ryzen 5 4500Uに向く用途 ⇒ レンダリング、写真編集、コンテンツ制作
Core i5-8265Uに向く用途 ⇒ 映像編集、ビデオチャット
PCMark 10 | Ryzen 5 4500U | Core i5-8265U | 増減率 |
---|---|---|---|
総合スコア | 4340 | 3731 | +16% |
基本性能 | 8202 | 7955 | +3% |
アプリ起動速度 | 9861 | 9340 | +6% |
ビデオチャット | 7186 | 7433 | -3% |
ウェブブラウジング | 7787 | 7253 | +7% |
ビジネスアプリ | 6662 | 5916 | +13% |
表計算 | 7964 | 7587 | +5% |
ワープロ | 5574 | 4614 | +21% |
コンテンツ制作 | 4061 | 2997 | +36% |
写真編集 | 5319 | 3841 | +38% |
レンダリング | 4062 | 1830 | +122% |
映像編集 | 3100 | 3833 | -19% |