LAVIE N15シリーズの最上位モデルにのみ搭載されるという、8コア/16スレッドのRyzen 7 Extreme Edition。
今回の記事では「Ryzen 7 Extreme Edition」とRyzen 5 PRO 3400GEの性能を、ベンチマークで比較します。
Ryzen 7 Extreme Editionとは?
Ryzen 7 Extreme Editionとは、AMDとNECの共同で開発されたというモバイル向けの高性能CPUです。
しかしRyzen 7 Extreme Editionの仕様は、記事公開時点でAMD公式にも記載されていません。
一部ではRyzen 7 4800Uと類似する仕様なのではないかと言われていますが、詳細は不明です。
今のところ「NEC LAVIE N15 N1585/AAL」のみ、Ryzen 7 Extreme Editionを搭載しています。
Ryzen 5 PRO 3400GEとは?
実質2万円代で購入できるパソコンとして話題の「ThinkCentre M75q-1 Tiny」に採用されているCPUです。
デスクトップ用のCPUのため、本来はモバイル向けのRyzen 7 Extreme Editionとの比較には適しません。
しかしRyzen 7 Extreme Editionの性能がデスクトップPCに近いとされるため、参考として掲載しておきます。
ちなみに「Ryzen 5 PRO 3400GEの性能」は、別記事で詳しく解説しています。
-
【Ryzen 5 PRO 3400GE】ThinkCentre M75q-1 Tinyの性能【ベンチマーク】
高いコストパフォーマンスから人気を博している、Ryzen 5 PRO 3400GE搭載のThinkCentre M75q-1 Tiny。
今回の記事ではこの「Ryzen 5 PRO 3400GE」と「Ryzen 5 3500U」の性能を、ベンチマークで比較します。続きを見る
CPUの性能比較
Ryzen 7 Extreme Editionは8コア/16スレッドに対応した、最大4.2GHz駆動のCPUです。
TDPを15Wに抑えつつ、モバイル向けのCPUとしては驚異的な性能を実現しています。
性能比較 | Ryzen 7 Extreme Edition | Ryzen 5 PRO 3400GE |
---|---|---|
コードネーム | Renoir | Picasso |
CPUコア数 | 8コア | 4コア |
スレッド数 | 16スレッド | 8スレッド |
基本クロック | 1.8GHz | 3.3GHz |
最大ブースト・クロック | 4.2GHz | 4.0GHz |
L2キャッシュ合計 | 4MB | 2MB |
L3キャッシュ合計 | 8MB | 4MB |
CMOS | 7nm | 12nm |
パッケージ | FP5 | AM4 |
内蔵グラフィックス | Radeon Graphics | Radeon Vega 11 Graphics |
グラフィックス周波数 | 1750MHz | 1300MHz |
デフォルトTDP/TDP | 15W | 35W |
CPUベンチマーク比較
毎回性能比較の慣例となっている「Cinebench」と「CPU-Z」のベンチマーク結果です。
増減率を比べると、Ryzen 7 Extreme Editionが「Cinebench R20(Multi)で約92%優位」です。
すでにこの時点で、比較対象にRyzen 5 PRO 3400GEを選んでしまったことに嫌な予感を覚えます。
CPU性能比較 | Ryzen 7 Extreme Edition | Ryzen 5 PRO 3400GE | 増減率 |
---|---|---|---|
Cinebench R20(Multi) | 3365 | 1755 | +92% |
Cinebench R20(Single) | 486 | 396 | +23% |
CPU-Z(Multi) | 4728.4 | 2349.1 | +101% |
CPU-Z(Single) | 523.8 | 415.8 | +26% |
GPUの性能比較
左の画像が、Ryzen 7 Extreme Editionに内蔵されている「Radeon Graphics」の情報です。
元々のGPU名がこの名前なのか、はたまたGPU-Zで名前が取得できていないのかはわかりません。
また右の画像が、Ryzen 5 PRO 3400GEに内蔵されている「Radeon Vega 11 Graphics」の情報です。
GPU性能比較 | Ryzen 7 Extreme Edition | Ryzen 5 PRO 3400GE |
---|---|---|
GPU名 | Radeon Graphics | Radeon Vega 11 |
GPUコア | Renoir | Picasso |
プロセス | 7nm | 12nm |
ダイサイズ | 156mm² | 210mm² |
トランジスタ数 | 9800M | 4940M |
ROP数 | 8 | 16 |
TMU数 | 32 | 44 |
シェーダー数 | 512 | 704 |
ピクセルフィルレート | 14.0GPixel/s | 20.8GPixel/s |
テクスチャフィルレート | 56.0GTexel/s | 57.2GTexel/s |
メモリ種類 | DDR4 | |
メモリインターフェイス | 128bit | 64bit |
メモリ容量 | 512MB | 2GB |
メモリ帯域幅 | 42.7GB/s | 21.3GB/s |
ベースクロック | 1750MHz | 1300MHz |
実機サンプル仕様比較
比較対象の実機サンプルには似通ったスペックのものを用意していますが、あくまで別個体。
そのため記事内の全てのベンチマークは、参考値として認識して頂くようお願いいたします。
仕様比較 | PC-N1585AAL | ThinkCentre M75q-1 Tiny |
---|---|---|
種類 | ラップトップPC | デスクトップPC |
OS | Windows 10 Home 64bit | |
CPU | Ryzen 7 Extreme Edition | Ryzen 5 PRO 3400GE |
メモリ | 16GB(DDR4-2666 8GB×2) | 8GB(DDR4-2666 8GB×1) |
ストレージ | 1TB SSD(NVMe) | 128GB SSD(NVMe) |
GPU | Radeon Graphics | Radeon Vega 11 Graphics |
GPUメモリ | 512MB | 2GB |
ディスプレイ | 15.6型 | なし |
解像度 | 1,920×1,080 | - |
備考 | - | 65Wアダプター使用 |
ゲーミング性能比較
GPUベンチマークを比較すると、Ryzen 7 Extreme Editionが「Night Raidで約80%優位」です。
性能差ではファイナルファンタジーXIV(1080p)が最も大きく、しかも「やや快適」の表示です。
GPU性能比較 | Ryzen 7 Extreme Edition | Ryzen 5 PRO 3400GE | 増減率 |
---|---|---|---|
Night Raid | 13626 | 7588 | +80% |
Sky Diver | 11878 | 6869 | +73% |
Cloud Gate | 20267 | 12255 | +65% |
Ice Storm Extreme | 80757 | 66461 | +22% |
Ice Storm | 92779 | 82644 | +12% |
ドラゴンクエストX(1080p) | 8556 | 4712 | +82% |
ファイナルファンタジーXIV(1080p) | 2731 | 1413 | +93% |
総合性能比較(PCMark 10)
パソコンの総合的な性能を測定する目的で用いられる、ベンチマークソフト「PCMark 10」のデータです。
総合スコアで比較するなら、Ryzen 7 Extreme EditionがRyzen 5 PRO 3400GEに対して「約28%優位」です。
最も差が大きな項目が「レンダリング」で、逆に最も差が小さな項目が「ビデオチャット」となりました。
PCMark 10 | Ryzen 7 Extreme Edition | Ryzen 5 PRO 3400GE | 増減率 |
---|---|---|---|
総合スコア | 5378 | 4208 | +28% |
基本性能 | 9823 | 8374 | +17% |
アプリ起動速度 | 12489 | 10143 | +23% |
ビデオチャット | 8904 | 8113 | +10% |
ウェブブラウジング | 8525 | 7136 | +19% |
ビジネスアプリ | 7961 | 6644 | +20% |
表計算 | 10000 | 8425 | +19% |
ワープロ | 6339 | 5240 | +21% |
コンテンツ制作 | 5400 | 3634 | +49% |
写真編集 | 8066 | 5403 | +49% |
レンダリング | 5500 | 3088 | +78% |
映像編集 | 3551 | 2878 | +23% |