コストパフォーマンスに優れた8TBの3.5インチHDDとして人気となっている、SegateのST8000DM004。
今回の記事ではこの「ST8000DM004」のレビューに加え、記録方式のSMRとCMRの違いを解説します。
SMRとCMRの違い
SMR(Shingled Magnetic Recording)とは、昨今の大容量HDDへの採用が増加している技術のことです。
データを保存する領域を重ね合わせることで、より少ない部品数でより大きい容量を実現しています。
またCMR(Conventional Magnetic Recording)とは、SMRの登場以前から使われているデータ記録方式です。
保存領域それぞれが干渉しないようになっており、データの書き換え時にキャッシュメモリを使用しません。
SMRの利点と欠点
SMRは「低コストで大容量」という利点がある一方、データの書き換え時にキャッシュメモリを使用します。
そのためキャッシュメモリを使い切るような状況下では、転送速度が落ち込むという欠点があります。
- SMRとはデータを保存する領域を重ねて、大容量を実現する技術である
- SMRはキャッシュメモリにより、CMRとほぼ同じレスポンスで使える
- SMRは1プラッタ(データを記録する磁気ディスク)あたりの容量が大きい
- SMRは大容量HDDに採用されがちだが、SMRだと明示されていないことがある
- SMRはデータの書き換えに一手間掛かるため、ランダムライトが苦手である
- SMRは最新技術だということもあり、CMRに比べて耐久性が未知数である
ST8000DM004の特長
ST8000DM004の特長まとめ
- 驚きのハイパフォーマンスを実現するという、2TBプラッタを採用している
- Multi-Tier Caching Technologyと、256MBキャッシュを搭載している
- 回転数5400rpmにより動作音が小さく、発熱も抑制されている
ST8000DM004の仕様
型番 | ST8000DM004 |
---|---|
JANコード | 0763649094419 |
容量 | 8TB |
実容量 | 7452GB |
1セクター | 4096byte |
インターフェイス | SATA 6Gb/s |
最大転送速度 | 190MB/s |
キャッシュ | 256MB |
回転速度 | 5,400rpm |
ヘッド | 8 |
プラッタ | 2TB×4 |
作業負荷率制限 | 55TB/年 |
平均故障間隔(MTBF) | - |
保証期間 | 2年 |
ST8000DM004の外観
パッケージは「BarraCudaシリーズ」で統一されている緑色です。
パッケージ裏面には、製品の特長が簡潔に記載されています。
メーカー保証の期間と型番は、パッケージの側面で確認できます。
パッケージを開梱すると、大きな緩衝材に包まれたHDDが出てきます。
HDDは静電気防止袋でも保護されており、静電気対策は万全だと言えるでしょう。
製品本体中央には「シリアルナンバー」や「ファームウェアのバージョン」などが印刷されています。
製品裏面の状態です。
裏面下部にある基盤です。
背面のSATAコネクタ周辺です。
製品の前面です。
製品に存在するネジ穴の位置です。
画像左が前面で、画像右が後面です。
製品の後面です。
ST8000DM004の重量は、実測で「約619g」でした。
シリアル番号について
後日購入した別ロットでは、パッケージにシリアル番号が表記されていました。
ST8000DM004の性能
各ベンチマークそれぞれ上の画像が使用前、下の画像が「8TBの限界まで使用した後」です。
尚空き容量不足でベンチマークが動作しなかったため、動作に必要な容量のみ確保して測定しています。
CrystalDiskInfo 8.2.0 x64
型番の詳細は「ST8000DM004-2CX188」です。
CrystalDiskMark 6.0.2 x64
ATTO Disk Benchmark 4.01.0f1
HD Tune 2.55
詳細レビュー
発売以後8TBのHDDしては、価格.comの売れ筋ランキング上位となっている製品です。
選ばれる理由はそのコストパフォーマンスにあり「WD60EZAZ-RT」発売までは、ほぼ1位でした。
懸念されるポイントは前述の「SMR」ですが、様々な技術を搭載したことでCMRとの体感差は出にくい印象。
とはいえベンチマークにも表れているように、データの書き換え時の速度減少は否めません。
そのため現時点においても、データ書き換え時の速度を重視するのであれば検討が必要でしょう。
ちなみに動作音や発熱は少なくなっており、裸かつ手元で数日使用した時も気にならない水準。
やはり8TBは6TBに比べより少ない台数で大容量を確保できますから、頻繁に書き換えしない動画データを主に扱うのであれば選択肢となり得ます。
ST6000DM003(6TB HDD)のレビュー
ちなみに「ST6000DM003(6TB HDD)のレビュー」は、別記事で詳しく解説しています。
-
【HDD】6TBのST6000DM003 レビュー【ST8000DM004との違い】
2TBプラッタを採用したことにより、従来に比べて3枚という少ないディスク構成を実現したST6000DM003。
今回の記事ではこの「ST6000DM003」のベンチマークに加え、ST8000DM004との違いを解説します。続きを見る